チベット仏教にはいくつかの宗派がある？

西元11世紀中葉以降、チベット仏教の教派が始まり、この過程は西元15世紀中葉まで続いた。 チベット仏教の宗派には、寧瑪派（ニンマ派）、噶挙派（カギュー派）、薩迦派（サキャ派）、格魯派（ゲルク派）などがある。

寧瑪派はチベット仏教の中で最も歴史の古い一派である。チベットに最初に伝えられた苯教とベンゼン教が融合して誕生した教派である。この派の僧は皆赤帽を被っているため、「紅教」あるいは「赤帽派」とも呼ばれる。彼らの教え方は、蓮花生から直接伝えられ、前弘期の密教の典籍を継承することを主としており、他の教派が誕生した時期より三百年も早い。カバタン派は後弘期の諸教派の中で最も早く出現した一派である。紀元前11世紀に阿底峡の弟子である仲敦巴によって創立された。この派は、阿底峡の『菩提道灯論』をもとに、地道な修行を強調している。顕教と密教は共通しているが、密教には特殊な機能があると考えられている。

噶挙派は十一世紀に形成されたチベット仏教の教派である。「噶挙」は口伝伝承の意味である。この一派は密法を重んじ,多くは心で伝えられている。また、僧に白い僧服を多く着せたことから、俗に「白教」と呼ばれるようになった。最初は香巴噶挙と達波噶挙の2大派があったが、後に「四大八小」などに分かれた。サカ派(サカは)はチベット仏教の中で最も影響力のある分派である。この派の創始者であるゴンジェブは、サガ地区にサゴ寺を建立したことから、サゴ派と呼ばれるようになった。

西元13世紀中葉から14世紀中葉にかけて、チベット地方ではこの派が優勢であった。その第五代の祖師八思巴は元世祖フビライの帝師を務め、全国各地の仏教の事を管理していた。ギョル派はチベット仏教の最後に興った大教派で、紀元前15世紀の初めに形成された。ゲルク派はその発展の過程の中で「活仏」の生まれ変わり制度を採用して、次第にダライ、パンチェン・ラマの2大活仏世系を形成した。清の時代、中央政府の協力のもとで、この一派はチベット地方の執政派と呼ばれた。